パティシエ総長さんとコミュ障女子
「迷惑で…ごめんなさい」
誰に言ったのか分からないままそう、呟いた。
瑠衣がしっかりと私を抱いてくれているから、安心する。
怠さと眠さが同時に襲ってきて目を閉じてしまう。
寝たくない、咄嗟にそう思った。
現実世界に幸せを見つけてしまったから。
夢の世界は、もう、いらない。
大切な友達がたくさんいるから。
「お前、危なっかしいからな。俺が目を離したら何するかわかんねぇよ。」
そんな言葉を聞いた気がする。
不思議だ。幸せだなぁ、私。
今日、凛に助けられたように。
竜司くんが慰めてくれたように。
瑠衣が抱きしめてくれたように。
私も誰かを支えられたらな。
みんなが幸せになれたらな……。