パティシエ総長さんとコミュ障女子
休暇
じーわ、じーわ、じーわ


「暑い!!」


思わず叫んだ。

8月。夏真っ盛りだ。

7月ほど強く無いとはいえ、容赦なく照りつける太陽と、ヒートアイランド現象で猛暑の気温にうんざりする。

いい加減アームカバーが鬱陶しい。


「私たちの前ではそれ外してもいいんだよ?」


隣を歩くゆっこが心配そうに見つめてくる。

私は微笑んで答えた。


「まあ、蓮とゆっこは優しいからさ、良いかもしれないけど。みんな私の腕なんて普通見たくないんだよ。気持ち悪いだけだし、不愉快だと思う。見たことないだろうけど、超!グロテスクなんだから。」


そして腕を掲げた。


「それに、ほら。この間竜司くんが白いの買ってきてくれてさ。通気性もいいしあんまり暑くないよ。」

「そういう問題なの…?」


ちょっと腑に落ちない顔をしながらもゆっこは黙った。

今は夏休み。

宿題を最初の1週間でほとんど終わらせた私たちは、暇を持て余して一緒に遊ぶことにした。


「どこ行く?私たちが超超超優秀なせいで暇だね。」


蓮が笑いながら言った。

私はもともと宿題を早く終わらせるタイプだが、驚いたことに二人も私に勝るが劣らずで、あっという間に宿題を終わらせていた。


「あ、そうだ!」


私は突然閃いて、二人に向き直った。

そういえば最近ご無沙汰だったところがあったな。


「双竜会、行ってみない?」


我ながらいい提案だと思ったのに、二人の顔は曇る。
< 130 / 181 >

この作品をシェア

pagetop