パティシエ総長さんとコミュ障女子
「凛〜、あんた、いつも竜司くんと一緒にいるからって感覚が鈍ってない?」
あからさまに嫌そうな顔をする蓮が言う。
私は首を傾げた。
「だーかーら……双竜会ってさ、デカい不良グループじゃん。やだよ、変な人に絡まれたりしたら…。私裏社会なんてごめんだよ!?」
あぁ、納得した。
そういえばそうだった。
双竜会って、確かに裏社会って感じだし、色々と危ないところもあるんだった。
完全に感覚が鈍っていた。
「そっかぁ〜そうだよねぇ……そういえば竜司くんもお父さんがヤクザだもんねぇ…」
再確認するように呟く。
改めて考えると、生粋のヤクザの息子がケーキ屋って…あまりにもちぐはぐすぎる。
その時、突然スマホに通知が入った。
「え?」
見てみると、「壮助」と表示される。
壮助は、私が一度双竜会に行った時に真っ先に連絡先の交換を迫ってきて、その後もちょくちょくメッセージをくれる。
私は色々と忙しくてありがたくメッセージは受け取っているが、双竜会に顔を出していない。
『凛さん!俺です!壮助です!そろそろ双竜会来ません?最近空間がむさ苦し過ぎて窒息します。凛さんの力が必要です。』
内容に思わず笑ってしまう。
壮助は毎回メッセージを送るたびに自己紹介をしている。
流石に覚えたと言っているのに、いまだにやめない。
第一印象通りの真っ直ぐな人だ。