パティシエ総長さんとコミュ障女子
「ねえ、やっぱり双竜会行こうよ。大丈夫、変なところじゃないから。」
カザミや、双竜会のみんなに無性に会いたくなって、私はスマホの画面を二人に見せた。
「凛がそんなに強く意思表示するなんて珍しい〜。」
ゆっこがぱちぱちと瞬きする。
そして、にっこり微笑んだ。
「凛が行きたいなら私も行くよ。」
蓮は、まだ曇り顔だ。
「ねぇ、蓮。双竜会には可愛い犬……じゃなかった、瑠衣が居るかもよ?」
蓮には犬よりも瑠衣の方が刺さるかな、と思って押してみる。
「瑠衣」という名前にぴくりと反応する蓮。
「え、えぇ〜?どうしようかなぁ……。べ、別に瑠衣に会いたいわけじゃないけど、凛がどうしてもって言うなら…。」
「可愛いね〜このツンデレ〜〜」
モゴモゴと喋る蓮をゆっこがニヤニヤと見つめる。
あれから蓮と瑠衣は学校で一緒にいることも多くなった。
そして、蓮を殴って、クラスチャットに蓮の情報を書き込んだ3人は、クラス全員が証人になって告発され、無事全員停学処分を喰らっている。
暴力沙汰も明るみに出てしまい、退学処分の可能性もあり得るそうだ。
3人は過去にもいじめ疑惑があったらしい。
もうクラスの人たちは彼女らが戻ってきても前のようには受け入れてくれないだろう。
強制退学ではなくても、気まずさに耐えかねて自主退学するんじゃないかと私は睨んでいる。
クラスの子達がまともで良かった。
心からそう思った。
きっと3人は、クラス全員が蓮をシカトしたりいじめたりするものだと思っていたのだろう。
ただ、実際は全員が彼女らを敵視し、蓮の味方だった。