パティシエ総長さんとコミュ障女子
みんなが3人を冷たい目で見た時は、つくづくこの学校に来て良かったと思った。
中学では私はクラス全員にいじめを見て見ぬふりをされ、無視され、ハブにされた。
そんな自分と重ねると、うちの高校がいかに恵まれた環境なのかがわかる。
「じゃあ、みんな双竜会行くってことでオッケー?」
ゆっこは笑って頷き、蓮は顔を真っ赤にして頷いた。
その返事を見て、私はすぐさま壮助に電話した。
「ももももももしもし!!!」
コール一回も終わらせず、壮助が電話に出る。
「もしもし」という4文字さえ見事に噛んでいる。
面白くて思わず吹き出してしまった。
ひとしきり笑った後、電話越しに壮助に声をかけた。
「ごめんなさい、笑っちゃって。」
「全然、大丈夫っすよ。何か手助けが必要っすか?」
「あ、えっとね、今から双竜会行こうと思ってさ。ご無沙汰だよね。」
「ま、マジすか!?今から迎えに行きますよ!!場所はどこっすか?」
「えーっと……白虎高校の近くなんだけど…」
「行きます行きます!全速力で飛ばします!」
早くも電話を切ろうとする壮助を慌てて呼び止める。
「ちょっと待って!二人、友達がいるんだけどさ…蓮と裕子って子が…」
「あ、じゃあ3人で向かいますねっ……」
突然電話にノイズが混ざった。
何やら騒がしい音がする。
おそらく壮助が携帯を取り上げられている、ということだけがわかった。
そして、再びクリアな音声が戻った。
「よぉ、ツナちゃん。俺!」
「瑠衣……。」
いつもの聞きなれた声だ。