パティシエ総長さんとコミュ障女子
横で蓮が落ち着きのなさそうな顔をしているので、通話をスピーカーモードにする。
「俺と慎吾が迎えに行くわ。待ってろよ。」
「あ、ちょっと!瑠衣さん!」
壮助の携帯が放り投げられたのか、壮助が慌てたように叫ぶ声が遠くに聞こえた。
そして、突然切れる電話。
ツーツーと音がする。
私たちはしばらく呆然としていた。
「なんか……情報量多かったね……。」
「うん…。」
ゆっこの言葉に蓮が生返事をする。
「あの……さ。」
私はまだ二人に伝えていなかったことを思い出して、振り返った。
「えっと…大変申し上げにくいのですが…。覚悟を決めてください…。」
「え!?なんで敬語?どうした凛!」
すぐに蓮に突っ込まれる。
思えば、言っていなかった。
おそらく3人はバイクで迎えに来るってこと。
「あの…二人はバイク、乗ったことある…?」
蓮の顔が一気に引き攣った。
「ま、まさか…。」
「うん、そのまさかなんだよねぇ…。」
あはははは、と渇いた笑い声を一人で立てる私。
「ご、ごめんって!言うの忘れてたぁ!」
地面に土下座して二人に謝る。
「うっ……まぁ……腹は括るけどさぁ…。私ジェットコースターとか得意な方だし何とかなるか…な……」
蓮が全力で心配そうな顔をする。
ごめんなさいごめんなさい!!
そんな蓮とは対照的に、ゆっこはあまりにも落ち着き払った顔をしていた。