パティシエ総長さんとコミュ障女子
「まぁ、私はよくお父さんの後ろに乗せてもらっているし、慣れてるよ〜。心配ならバイクの極意を今から蓮に叩き込んであげる〜!」
どすこい!とゆっこが頼もしい笑みを浮かべる。
一瞬ゆっこが神か仏に見えた。
「さ、流石にヘルメット被るよね?」
「うん……分からない!」
前乗せてもらった時は被ったけど、あんまり図々しいこと言えないし、正直に答えた。
蓮は信じられない、という顔を全力でしていたが、どうしようもないと無視をする。
他愛のない話をしているうちに時間が過ぎる。
夏の日差しの下にいることがそろそろ辛くなってきた、という時に彼らはやってきた。
大きい割にあまり音を立てない三つのバイクが白虎高校の校門の近くに止まる。
「凛さ〜ん!!」
一人がバイクから降りて大きく手を振っている。
壮助だ。
私は手を振り返して、3人の方へと向かった。
後ろから蓮とゆっこも着いてくる。
「久しぶり。対面するのは2回目だよね?でもチャットで話し過ぎてあんまりそんな感じしないや。」
笑ってそう伝えると、なぜか直立不動の姿勢になる壮助。
「わぁ、男たらし。」
「無自覚魔性の女〜」
左右から蓮とゆっこが囁く。
ニヤニヤと笑う二人の顔が容易に想像できるが、面倒くさそうなのでとりあえずスルー。