パティシエ総長さんとコミュ障女子
バイクから降りると、気づかないうちに息が上がっていたことに気づいた。
息を整え、壮助にヘルメットを返す。
「ありがと。」
「どういたしまして!」
振り向くと、やっと到着した蓮と瑠衣がバイクから降りようとしている。
「こ、怖かったよ〜……、何よ安全運転って!」
「いや、だいぶ減速したしまっすぐ走ったよ?」
「嘘だぁ!ほぼ蛇行運転だったじゃん!」
脚が震えて上手く立てないのか、蓮が瑠衣に支えられている。
「瑠衣さんはいつも先陣切って危険運転するんですよ。それはもうヒヤヒヤっす…。そこらの暴走族よりも圧倒的に気持ち悪い蛇行運転で、竜司さんにもよく注意されているんっす。」
壮助が耳打ちしてくる。
「だから、このスピードで来たってことはいつもの千倍くらい安全運転っすね。」
クスリと笑ってしまう。
蓮と言い争いながら慣れない安全運転をする瑠衣を想像するとおかしかった。
そういえば、今気づいたけど、隣を見ると、壮助の顎と私の目線がちょうど同じくらいだ。
目線を若干下げると喉仏がよく見える。
私の身長が女子の割に結構高くて165センチ弱だから、170センチはあるな…。
見上げると、キリッとした目元とストレートの短髪が印象的な好青年だ。
「どうしました?俺の顔になんかついているっすか?」
「あ、ごめんなんでもない…!」
慌てて前を向く。
人間観察してしまうのは私の悪い癖だ。
一人で反省した。