パティシエ総長さんとコミュ障女子
「休暇か……考えてみれば単純だよな。下っ端どもの仲を深めるには確かに最適かもな。やっぱり男だけだとこういう発想って出ないんだなぁ。」
瑠衣が顎に手を当てて笑う。
褒められて…いるのかな?
彼はその可愛らしいフワフワとした見た目からは想像もできないような毒舌の持ち主だけど、最近はあまり気にならなくなった。
なんとなくだけど、私に対する当たりも強くなくなってきたような気がする。
うーん…素直に嬉しいかも。
「ねね、これから休暇なんでしょ?何するの?やっぱり双竜会の人たちと一緒にいるの?」
蓮が瞳を輝かせて問う。
一体それはどういう心情なのだろうか…。
「んなわけねぇだろ。」
「嫌だね。」
「愚問です。」
すかさず、竜司くん、瑠衣、慎吾に否定される。
蓮の瞳が一層輝いた。
あぁ、なるほど。
蓮は瑠衣と一緒に過ごしたいんだ…。
「じゃ、じゃあさ!あの…本当に私個人の提案なんだけどさっ…。みんなでプチ旅行…行かない?」
ピシイ!!!
私たちの頭にそんな効果音が走った。
旅行…。
そんなこと、考えてもいなかった。
「旅行…ですか?」
慎吾がメガネを持ち上げながら言った。
「あ、あの…無理なら全然良いからさ!いい迷惑だよね…あはは…。私的には、ちょっと、みんなと仲を深めたいなって言う…。」
後半に行くに従って声がどんどん小さくなってゆく。
「私は賛成だな〜。海とか行ってみたい〜。」
そんな蓮を元気づけるようにゆっこが同調した。
蓮の、感情の分かりやすい顔が輝いた。