パティシエ総長さんとコミュ障女子
「それでさ、めちゃくちゃ重大発表があるんだけど。」
「え?何?」
微笑を浮かべながら私を見る竜司くんの目が光った。
「やっぱり…秘密。」
「えぇ…??」
「時期に分かるって。」
「気になるところで切らないでよっ!ていうか切るなら言うな!」
「あは、ごめんごめん。」
竜司くんの肩を軽く叩いて笑う。
「竜司く〜ん!凛〜!!早くおいでよ!!」
突然蓮が海から私たちを呼ぶ。
「じゃあ、私たちも行こうよ。」
私は立ち上がってキャップを取った。
パラパラと揺れる髪をゴムで纏めて竜司くんに手を差し出す。
私と同じく髪を纏めた竜司くんがすでに立ち上がっていた。
「え?凛ちゃんから手差し出してくれたの何気に初めてじゃない?」
ちょっと驚いたように言う彼の反応に、自分自身も驚いた。
「あっ…本当だ…。なんか流れるようにやっちゃった…。」
「流れるようにって、危機感大丈夫?」
ふっと色っぽく笑った竜司くんが私の手を取った。
力強い大きな手が私の手を包んだ。
その温かさにきゅっと胸が締め付けられるような感覚がした。
昔、どこかで感じたことがあるような温かさで、安心する。
「初めて…なのかな…?」
つぶやいた言葉が竜司くんに聞こえていたのかどうかは分からない。
私たちは手を繋いだまま、走って砂の山を駆け下り、4人の元に向かう。
「竜司さんが女の子と手ぇ繋いでる!」
素っ頓狂な瑠衣の声を聞くか聞かないかという時に、私たちはざぶんと水に飛び込んだ。
飛沫がキラキラと光った。
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