パティシエ総長さんとコミュ障女子
「破廉恥な話題はよくありませんよ。」
そして俺が振った話題はことごとく潰すのかい!!
癪だから、「破廉恥な話題」を続けてやった。
「女子たちが胸の大きさの話をするならさ、男はもちろん……」
「心の器の大きさの話ですよね。」
「ちげーよ!!」
なんで一言話すたびに突っ込まなきゃいけないんだ?
面倒くさくなった俺は会話をやめて、さっきの慎吾にように鼻まで水面下に入る。
慎吾も同じように鼻まで入ると、俺と目を合わせてきた。
「んばばばんぼぼぼぼ……(なんでわざわざ目を合わせてくるんだ)」
「ぼぼぼぼぼんぶぶぼぼぼ……」
「んぼぼぼばばばぼぼぼ……(なんも聞き取れねぇよ)」
「ばばばばばばぼぼ…」
悲しくなってきて体勢を元に戻す。
あぁ、俺は一体何をやっているのだろう。
哲学が始まってしまい、浴槽から出た。
「のぼせる前に出てこいよ。」
そう言い残して大浴場を去った。
「んぼぼぼぼ」と返答が聞こえたような気もするが、これは火星からのテレパシーだと自分に言い聞かせて無視をする。
さっと部屋着を着て、髪を簡単に整えて、脱衣所を出ると女子二人がソファでくつろいでいた。
マジか、俺らの方が長風呂だったのか。
二人に軽く挨拶をして自販機でお茶を買った。
彼女たちにならって俺もソファに座る。
「ねえねえ瑠衣、賭けをしない?」
「はぁ?」
俺にいきなりおかしな話題を振ってきたのは丸くて大きな目とよく動く表情が特徴の蓮。
いつもポニーテールの蓮は風呂上がりで髪を下ろしていた。