パティシエ総長さんとコミュ障女子


「あ、そういえば明日の朝食はビュッフェらしいぞ。」


俺がパッと思いついたことを言うと、それに呼応して、蓮の顔がぱぁっと輝いた。

本当に表情のよく変わる人だ。

さっき、ツナちゃんは美しい外見をしていると言ったけど、笑顔だけは別だ。

ツナちゃんの笑顔はぎこちないことが多くて、どうも全力で笑っていないような気がする。

その点、蓮は、笑顔が太陽のように明るくて可愛らしい。

元々蓮も綺麗かつ愛嬌のある顔をしているが、破顔した時は格別だ。

笑顔は蓮の最大の長所兼武器だと勝手に思っている。


「やっぱりお前の笑顔すきだわ。」


思わず言葉が口をついて出ていた。


「あっ…」

「え…」


蓮が一気に真っ赤になる。

俺も自分の失言に気づき、口を手で覆う。


「ごめんって…あの…」

「えへへ〜…好きだって……」


俺の弁明を聞く耳を持たない蓮。


「私、たくさん笑うようにするね。」


そう言って彼女はにこりと笑った。

正直心に刺さりまくったが表情に出さないように努める。

まあ、弁明はいいか。

……一応本心だしな。

やがて、しっかり茹で上がった慎吾が風呂から出てきて、俺たちの会話は盛り上がった。

こうやって馬鹿みたいな話をして何も考えずに笑える人たちがいるって、よく考えたら幸せだよな…。
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