パティシエ総長さんとコミュ障女子
転校生と文化祭
今、何時!?
飛び起きて時計を見る。
デジタル時計は7時25分を示していた。
「やっば!初日から遅刻とか嫌だよ。」
全速力で着替え、身だしなみを整える。
ありえない速さで階段を駆け下り、テーブルに置いてある朝食を口に運ぶ。
「凛ちゃんおはよう〜」
いつもは起きていない小学生たちまですでに起きている。
「ん!」
挨拶もそこそこにおかずを食べ、飲み物を飲み、トーストは手に持つ。
「行ってきます!」
半ば叫ぶように言う。
「凛姉ちゃん!」
その時突然、天パの少年が駆けてきた。
「どうした、小太郎くん。」
そういえば最近、小太郎くんが私のことを「凛姉さん」じゃなくて「凛姉ちゃん」って呼んでくれるようになった。
……ちょっと嬉しい。
「いってらっしゃい。…あ、あと、瑠衣兄ちゃんに言ってよ、あさがお園にちょくちょく来てよって。」
瑠衣が来ない事実に唇を尖らせる小太郎くん。
そういえば瑠衣、あれ以来あさがお園に来ているのを見たことない。
私が知らないところで来ているのかも、とか思っていたけど、やっぱり来ていないみたいだ。
あの薄情者。
「了解、引きずってでも連れてくるよ。」
親指を立てて小太郎くんに応える。
小太郎くんが笑顔になったのを見届けて、玄関から飛び出す。
園の門を出ると、膝の屈伸をする。
今日はスニーカーを履いてきた。
今から全速力で走れば8時に間に合うだろうか。
時刻は7時40分。
ストレッチを終えて、道路を見据える。
行ける!…多分。
トーストを咥えて走り出す。
頼むから曲がり角で転校生にぶつかるなんてことがありませんように…。