パティシエ総長さんとコミュ障女子
「ねえ、なんでうちの学校に来たの?」
そう尋ねると、竜司くんがニヤリと笑った。
「いやぁ、だって、白虎に編入できるくらいの学力付いちゃったんだよ?入るしかないじゃん。この学力をくれたのは凛ちゃんたちだよ?」
「へ、編入!?」
自称とは言え、進学校だ。
編入生なんてまず受け付けないし、受け付けるとしたら相当優秀な人だけだ。
竜司くんの地頭に心底畏れを抱いてしまう。
「それに、凛ちゃんたちがいるしな。……まぁ、慎吾は置いてきちまったけどよ。あっちにも下っ端たくさんいるから大丈夫だろ。」
あぁ、慎吾が不憫…。
「それに……俺、凛ちゃんを守らなきゃいけないし、な。」
小さな声でそう付け足す竜司くん。
「……私…?」
「あ、今のは独り言だと思ってくれて大丈夫。変な目的で近づいてくる奴らに凛ちゃんは指一本触れさせないから。」
え、え?
なんの話だ?
私別に誰かに狙われるようなことしていないと思うけどなぁ…。
理解が追いつかなかったので、思考を放棄する。
「ねぇ、そういえば良いの?総長がこの学校にいるってバレちゃって。」
尋ねると、竜司くんは心外だ、という顔をした。
「俺の顔はそんなに有名じゃないぞ?総長としての時はだいたいマスクしているしな…。」
あー……確かそんなことをだいぶ前に言っていた気がする…。
じゃあ大丈夫か…。
ん?あれ?
「いやいや、ちょっと待って?顔でバレなくても名前でバレるじゃないか!」
危うく納得しかけたが、ギリギリで踏みとどまってツッコんでしまった。
「あ、確かに。」
当の本人は飄々としている。