パティシエ総長さんとコミュ障女子
そういえば左肩が重い。
ふと左を見ると、そこには当然のように私の肩にもたれて寝息を立てる竜司くんが居た。
スヤスヤと効果音の付きそうなくらい安らかな顔をして安眠している。
竜司くんも寝ちゃったの!?
慌ててスマホを取り出してホーム画面を見る。
4時5分。
初期設定のままの背景に、無情にもその数字が浮かび上がっていた。
「嘘…!?もうとっくにホームルームも終わってるじゃん…!」
長すぎる昼寝時間に呆れて、もはや笑えてくる。
屋上に来た時は5限の途中だから、おそらく2時にもなっていなかったと思う。
これじゃあ本当にサボりだ。
「そうだよ!ホームルームになっても凛が帰ってこないからすごく心配したよ。……でも心配して損した!!こんなところで竜司くんとイチャコラしているなんて!けしからん!」
「痛っ!」
頬を膨らませてデコピンしてくる蓮。
イチャコラって……。別にそんなつもりはなかったのに。すぐに帰ろうと思っていたのに、まさか寝てしまうとは思わなかった…!
「…ん………」
突然、左肩の物体が動く。
そして、一気に肩が軽くなった。
「ぅ〜ん……よく寝た…。」
くわーっと小さく欠伸をして、眠たそうに目を瞬かせる。
うっわ……この人すごい呑気だ…。
私と蓮は呆れ顔。まぁ、私は呆れ顔する資格なんて無いんだけど…。
「あんたたち………勝手に青春しないでよっ!!」
突然泣き崩れる蓮。
「あーもーリア充は末永く爆ぜろーーー!!」
別に私はリア充じゃないので、とりあえずスルー。
ようやく覚醒してきたらしい竜司くんにスマホを突きつける。
「見える!?4時8分!!私たち2時間寝てるの!」
そう伝えても、竜司くんは涼しい顔だった。