パティシエ総長さんとコミュ障女子
「怖かった……」
彼が見えなくなった瞬間、蓮ちゃんが座り込んだ。
顔を手で覆って震えている。
相当無理をしたんだ、私のために。
「蓮ちゃん…、ごめんね」
私はそんな蓮ちゃんの前に座って蓮ちゃんをそっと抱いた。
「違う。凛ちゃんは悪くないよっ…!」
そう言って顔をあげ、微笑む蓮ちゃん。
「そうだよ凛ちゃん。凛ちゃんが怪我しなくてよかった〜!」
ゆっこちゃんも私を慰めてくれる。
「ごめんね……。蓮ちゃんもゆっこちゃんもかっこよかったよ」
私の言葉に二人は照れたように微笑んだ。
「まぁ、御神楽さんもケーキ渡したかっただけだったみたいだし…?結果オーライだね。」
親指を立てる蓮ちゃん。
「あはは、私、ちゃんと目付けられていたみたい…。」
残りの通学路を歩きながら、私は二人に事情を説明することにした。
二人には、私が怒鳴り声や叫び声が苦手なことを伝えた。
二人は私のことを深掘りしようとはしなかった。
彼女たちの優しさに、涙が溢れそうになりながら、私は家へと向かった。