パティシエ総長さんとコミュ障女子
バイト

半月ほどが経過した。

5月の下旬陽気は、もはや陽気を通り越して熱気になりつつある。

今日も通学路を明るい日差しが照らしていた。


「暑い……」


早くも夏服に着替えた私は、ポロシャツのボタンを全開にして、スカート丈を校則に引っかからないギリギリまで上げていた。


「すごいなぁ、地球温暖化って……」


もうじきセミも鳴き始めるだろう。

ジーワジーワと鳴くあの声を思い出すだけでうんざりする。


「せめて早く夏休みになってくれぇ」


かなり大きな声で独り言を言った。


「それなぁ〜」

「わかりみがマリアナ海溝。」


背後から2人の声が聞こえた。


「あ、ゆっこちゃん、蓮ちゃん。おはよー。暑いね。」


彼女たちともかなりスムーズに話せるようになってきた。


「意味わかんないよ〜、この時期に真夏日とか〜。33度とかふざけてんの〜?」


ゆっこちゃんは汗をたらたらと流し、ひっきりなしにハンカチで拭いている。


「マジでそれな。今すごいアイス食べたい気分。まだ暑さに体が慣れていないなぁ。」


ゆっこちゃんよりは涼しそうな蓮ちゃんがポロシャツの胸元をパタパタと煽いだ。

涼しそう、とは言え、よく動く蓮ちゃんの表情筋は正直で、まさに「げんなり」という顔をしていた。
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