パティシエ総長さんとコミュ障女子
「ちょっと腹パンちゃん。今結構ゲスいこと考えていたでしょ。」
苦笑する御神楽。
「まぁ、そうですね。御神楽くんなら都合のいい女の十や二十くらいいるでしょう?」
御神楽は絶句した。
目を見開いた彼は、恐ろしいものでも見たかのように私を凝視した。
はて、私はそんなに変なことを言ったのだろうか。
「そ、そりゃあ…勝手に擦り寄ってくる女ならいくらでもいるよ…。だからって…信用のおける奴なんていねぇよ。権力とカラダ目的の奴しかいないんだからな」
彼は目を伏せてそう言った。
「あぁ、思ったよりボッチでしたか。すみません。」
「おいてめぇ喧嘩売ってんのか…?」
すごい目で睨んでくる御神楽の視線を軽くあしらい、私は考え込んだ。
「んー、最悪男性でも良いんですけど…求人でも出します?」
そう伝えると、彼は片手で前髪を掻き上げて天井を見上げた。
喉仏が上下に動き、その後、顔が私の方に向いた。
「なぁ、あのさ……。腹パンちゃん、うちでバイトしね?」
ピキリ、と頭の中で音がした。
店員…店員……
人と話すことが必須の仕事……。
「む、む、無理です!!!絶対ダメです!!私コミュ障だし対人関係がダメなんです!!ちゃんとパーソナリティ障害の診断書貰っています!!!」
過去にないくらい大きく首を左右に振った。