パティシエ総長さんとコミュ障女子
………いや迷走しすぎじゃない!?!?
よりによってケーキ屋を開設しなくてもいいじゃないか。
グレるにも程があるよ…。
「竜司先輩は単純なんですよ。まぁ、でも僕たちは竜司先輩のそのやり方が気に入って双竜会にいるんですけどね。双竜会にいる輩は大体訳アリですよ。」
慎吾のその言葉に、瑠衣が少しだけ寂しそうに笑った。
「まぁでもまさか本当にケーキ屋始めちゃうなんて思いませんでしたけどね。竜司先輩、料理上手いのは知っていましたがケーキも作れたんですね…。本当にやっていけているんですか?」
「うっ……」
竜司くんが痛いところを突かれたような顔をした。
「竜司先輩、顔怖いですしお客さんに逃げられちゃっているんじゃないですか?」
「………」
ニヤニヤしながら煽る慎吾に、竜司くんは言い返すことができずに言葉に詰まっている。
図星だ。
「そのために凛ちゃんがいるんだろうが!」
「竜司さん、年下の見ず知らずの女の子に助けてもらうとか、そんなにプライドのない人だったっけ?」
「プライドもクソもあるかよ。」
竜司くんと瑠衣が言い合っている。
なんだか、彼らが兄弟のようで微笑ましい。
「あー、いいよ、お前らにはどーせ言葉で言っても分からないもんな。」
竜司くんが立ち上がり、おもむろに厨房に入る。