パティシエ総長さんとコミュ障女子
「今日はいいもん食ったわ!ありがとさん!」
「お邪魔しました」
瑠衣と慎吾が帰る時間。
すでに時刻は正午を過ぎている。
「じゃあ私たちも帰るわ」
「うん。そろそろおいとましなきゃね〜」
蓮ちゃんとゆっこちゃんも帰ることになった。
「慎吾!…瑠衣!またねー!」
私は二人に手を振った。
二人とも連絡先を交換した。
慎吾とは話しやすかったけど、瑠衣はやっぱりちょっと怖い。
「ん。」
「また。」
二人は軽く手を上げて、私に挨拶してくれた。
瑠衣、慎吾、蓮ちゃん、ゆっこちゃんが並んで去っていく。
蓮ちゃんはすごいな。瑠衣とも仲良く話せている。
「もう呼び捨てか…、すごいな。」
静かになった店の中で、竜司くんが私に声をかけた。
「瑠衣は呼び捨てでしょ!やだよ、あいつに「さん付け」「くん付け」とか。慎吾は…なんとなく。」
「まぁ、瑠衣はさんとかくんとか付ける気にはなれないよな。」
「初っ端から印象悪いもん。」
「だよなー。あいつ人付き合い下手くそだし。根はいいやつなんだけどな。」
「えー、いきなりトロい、嫌い、って言ってきたんだけど。」
「ツンデレってやつだろ。」
「あんな怖いツンデレが居てたまるか!」
あはは、と笑い合う。
「でも確かに凛ちゃんが瑠衣を警戒しているのはめちゃくちゃ伝わってきたよ。いつ瑠衣が殴り飛ばされるかヒヤヒヤしてどうしようもなかった。」
「私そんな凶暴じゃないよ!?」
「そうかぁ?俺は殴られた記憶しかないんだが。」
「その記憶、たぶん改ざんされているよ。」
「嘘つけ。」
竜司くんはなんでだろう、すごく話しやすいなぁ。