パティシエ総長さんとコミュ障女子
「え〜えへへ〜〜買おうかしら〜〜」
目がハートになってしまい、竜司くんの店にお金を落とすことになる田中さん。
竜司くんもちゃっかりしてんなぁ…。
「ありがと。また来てな。」
下手なりに笑みを浮かべながら、竜司くんがお釣りを渡す。
「きゃっ!手が触れちゃった!」
目をハートにするおばさん。
す、すごい。
「はぁぁ、ここに来れば美男美女を拝めるからいいわよね〜」
「そうそう〜〜」
おばさんたちはやっと店を出て行った。
「凛ちゃん、懐かれてんなぁ。」
「竜司くんこそ。きゃーきゃー言われちゃって。」
ふふふ、と笑い合う。
竜司くんともいい関係を築けていて、今では心を許せるとても楽しい話し相手になっている。
数ヶ月前の私は、総長さんと仲良くなれるなんて思っていなかった。
人生って、不思議なことがあるものだね。
なんとなく癪だから竜司くんには言っていないけど、竜司くんはものすごく綺麗なイケメンだから、隣にいるとちょっと鼻が高い。
瑠衣や慎吾もちょくちょく店に来ていて、二人ともかなり話せるようになってきた。
瑠衣は憎まれ口が治らないけど、話せば意外と楽しい。……怖いけど。
蓮とゆっことも良好な関係を築いている。
そういえば、やっと最近二人を呼び捨てできるようになった。
まだ慣れないけど、素直に嬉しい。