パティシエ総長さんとコミュ障女子
「凛ちゃん今日もお疲れ様。気をつけて帰れよ。あ、明日は定休日だからな。」
「うん、おつかれー。」
店の外には部活帰りで店に立ち寄った蓮とゆっこが待っている。
私は振り返って竜司くんに軽く手を振ると、店のドアを開けて、夏の夕方の生暖かい空気の中に飛び込んだ。
「お待たせ〜!」
私と同じくらいのセミロングだったゆっこは、髪をボブに切りそろえている。
私はゆっこの右隣に並び、3人で歩いた。
「ねね、凛。竜司くんとは仲良くやってる?」
蓮が私に尋ねた。
「うん。楽しいよ。」
そう答えると、二人とも安心したような顔をした。
「凛が楽しそうにしてくれると私たちも嬉しいよ〜」
ゆっこのおっとりとした喋り方も、今ではなくてはならないようなものになりつつある。
「二人は結構瑠衣と慎吾と会ったりしているんだよね?」
私が問うと、二人は頷いた。
「蓮は瑠衣くん狙いなんだよね〜」
ゆっこが揶揄うように言った。
「え!?マジ?」
初耳すぎて思わず驚いてしまった。
「え?はっ!?何言ってんのゆっこ!!べ、別にそんなんじゃないし…。」
蓮が顔を赤くしてあからさまに動揺しながら言った。
うわぁ、分かりやすい。
蓮のよく動く表情は、長所であり、短所でもあるよね…。
私はゆっこと顔を見合わせて笑い合った。
蓮の愛嬌だなぁ。可愛らしい。