パティシエ総長さんとコミュ障女子
「聞いて驚く勿れ。その人の名は、南瑠衣!」
ミナミ……ルイ……
ルイ…ルイ……瑠衣!?!?
私はガバッと起き上がってゆっこの胸元を掴んだ。
「凛!?痛いよっ…!」
「瑠衣!?瑠衣ってうちのクラスだったの!?」
「そ、そうだよ…、そう言ってんじゃん…。いいから離して〜!」
「ご、ごめんっ!」
思わずきつく掴んでしまったゆっこの服を離す。
あぁ…今日は初耳なことが多すぎて朝から情報過多で倒れそう。
じゃあ、今日から瑠衣が私の前の席に座るってことか…
なにそれ怖い。
私は彼が少し苦手だし、彼も私のことをトロい奴だと思っているらしい。
あー…せめて席が離れていたら良かったのに…!
いつかの時のように私は頭を抱えた。
そんなことをしているうちに、時間が過ぎ、朝のホームルームが始まった。
瑠衣は、いまだに来ない。
担任が、出欠をとり始めている。
その時だった。
ガラララ………ダンッ!!
「さーせん!遅くなりやした!」
勢いよく教室のドアを開け放ち、堂々と教室に入る人がいた。
「瑠衣……」
とうとう来てしまった。
「遅いぞ南!処分明けから遅刻とはいい度胸じゃないか。」
憤慨する担任をものともせず、一直線に私の方へ歩いてくる。
正確には、私の前の、彼の席へ、だけど。