パティシエ総長さんとコミュ障女子
歩く顔面国宝トリオの1人だ。
ここまで歩いてくる間にも、数々の女子の視線を釘付けにしている。
あ、ちなみに「歩く顔面国宝トリオ」っていうのは私が勝手に言っているだけで、竜司くん、瑠衣、慎吾のことだ。
机にダン!と音を立てて荷物を置き、私の方を見る。
「やぁ!暫くぶり、ツナちゃん。」
ツナ…?
困惑する私。そして、私以上に困惑するクラスメイトたち。
そりゃあ、いつもボッチだった私がいきなり顔面国宝に話しかけられるなんてとんでもなく目立つよ……。
あぁ、もうすでに面倒臭い…。
「何よ、ツナって……。」
小声で言い返す。
「いや、あんたトロいじゃん。トロからマグロを連想してさ。でも『マグロちゃん』じゃ流石に可哀想でしょ?だから『ツナちゃん』ってことにした。よろしく。」
「は、はぁ!?」
解せぬ!!
これは屈辱すぎる…。
腹パンちゃんといい、私はろくなあだ名を付けられない。
「そーいやこのクラスは確か蓮と裕子もいるんだよな。」
「いやそっちはちゃんと名前で呼ぶんかい!!」
思わず机を叩いてしまう。
「あっ…」
気づいた時には遅かった。
「え、何あの子。瑠衣さんとどういう関係?」
「てかあの子の声初めて聞いたかも。」
「それな…。」
地獄耳故に、ヒソヒソ声がよく聞こえる。
あぁぁぁぁ!ごめんなさいごめんなさいっ!
許して……