パティシエ総長さんとコミュ障女子
そこからは、瑠衣と小宮さんが思い出話に花を咲かせていた。
私と瑠衣に関係のあることだけ要約すると、瑠衣は小学校入学直前の六歳から六年間あさがお園にいて、中学に入る頃、里親に引き取られたのだそう。
中学に入った瞬間くらいにあさがお園に来た私とはちょうど入れ違いになったらしい。
その先はよく分からず、私は彼を小宮さんと二人だけにして、部屋を出た。
襖を閉じて振り向くと、小太郎くんが私を見つめていた。
「瑠衣兄ちゃん、最近どう?」
小太郎くんの丸いまっすぐな目が私の目を貫いた。
「……あとで瑠衣に聞きな。きっといっぱい話せるよ。」
私はそう言って部屋に戻った。
ベッドにダイブする。
まさか、瑠衣もここにいたなんて。
児童養護施設は、何らかの理由で親と暮らせなくなった子たちがいる。
理由は様々だ。
瑠衣は、どういう理由でここに来たのだろう。
6歳の少年は、どんな孤独を味わったのだろうか。
そんなことを想像してしまう。
瑠衣の悲しそうな笑顔が浮かぶ。
……きっと色々とあったんだろうな。
私は考えることを放棄して寝そべる。
外からはカラスの声が聞こえる。
ぼーっとしているといつのまにか瞼が重くなり、私はいつのまにかうとうとしてしまっていた。