パティシエ総長さんとコミュ障女子
双竜会…か。
前の私なら興味が無かった。
でも、今は、竜司くんが統治する組織ってどんなところなんだろう、と興味が湧いてきているのを自覚していた。
それに、竜司くんが誘ってくれているなら…。
私は、あっさり好奇心に負けた。
前の私なら、生きる気力も無くなって人形のように生きていたのに、私に好奇心なんてあったんだ、と驚く。
心なしか、最近感情表現も上手くできるようになっている気がする。
あ、今自然に笑えているな、と思うことがたくさんあるのだ。
紛れもなく、蓮、ゆっこ、竜司くんをはじめとした人たちのおかげだ。
「ぜひ…行きたいです!」
「え、なんで食い気味…?」
勢いよく言った私に、竜司くんは面食らったように顔から力が抜けた。
「もしかして凛ちゃん、遠足気分?」
「うっ……まぁ……否定はできないけど…。」
いつもの調子で笑い合う。
私はふと、気になっていたことを聞いてみた。
「そういえば、竜司くんって、不良ってことになっているよね?」
「あー……まぁ、そうらしいな…。」
「不良ってさ、何をしているの…?」
「ど…どストレートだな…。」
苦笑する竜司くん。
えぇ…聞き方が悪かったかな…。まぁ、でもどうやって聞いたらいいのか分からなかったししょうがないよね。