パティシエ総長さんとコミュ障女子
慌てる私の手を引いて、竜司くんは店の外に出る。
店の裏から引っ張り出してきたバイクを見て、私の表情筋が引き攣った。
「で…でかっ……。」
「まぁ、わざわざ警察行って400ccよりも上の免許取ったんだからな。」
竜司くんはバイクに跨りながらそう言った。
「ほら、おいで。」
躊躇する私に、竜司くんが自分の後ろの座席部分を叩いた。
こ、怖……。
「大丈夫、安全運転するから。」
にこりと笑う竜司くんを見て、私は腹を括った。
ど、どうにでもなれっ!
ヘルメットを装着し、竜司くんの後ろに跨る。
「しっかり掴まれ!」
「ど、どうやって!?」
そう聞きながらも、私はしっかりと竜司くんの腰に腕を回す。
保護ベルトも一応あるけど…
多分これ、明らかにアブナイ服装だよね!?
竜司くん、紳士っぽく見えて、こういうところはちゃんと不良だ…!!
「インカムで通話できるからなんかあったら言えよ。」
「うわっ!耳元から声!これがインカム!?」
そうこうしているうちに、竜司くんがバイクを発進させた。
「曲がる時は一緒に体を倒せよ」
「無茶だよ〜〜!!」
竜司くんに翻弄されて、私は落ちないようにすることしか考えられない。
竜司くんの危ないところ、初めて見た。