パティシエ総長さんとコミュ障女子

しゃがみ込んで、シェパードの首元を両手で撫でる。


「可愛いねぇ〜」


抱きしめると、温かい体温と柔らかい体毛を感じられて、気持ちがいい。

クンクンと小さく声が聞こえた。


「すごっ、カザミがすでに懐いてる…。」


瑠衣が驚いたような声を出している。

この子、カザミっていう名前なんだ。


「凛ちゃん、そんな可愛い顔できたんだ…。」


竜司くんもびっくりしたような声だ。


「すごいデレ顔ですね…。」


慎吾は呆れたように言った。

私たちの周りの双竜会のメンバーの人たちも、ざわめいている。

カザミ、そんなに懐かない子なのかな…?

こんなに可愛いのに。

瑠衣が持っていた皿を床に置いた。

あ、今まで瑠衣が持っていた皿にはカザミのご飯が入っていたんだ。

カザミは私から離れて、ご飯を食べ始めた。

可愛い。

いつまでも見ていたい。

だけど、食事を邪魔したら悪いよね。


後ろ髪を引かれる思いで立ち上がった私は、周りを見て絶句した。


「え…?あれ?どういうこと…?」


混乱する私。

周りには信じられない光景が広がっていた。


「凛さん!俺、壮助って言います!」

「ちょっと話しませんか?」

「凛さん!僕と話しません?」

「凛さん!」


いつのまにか、双竜会の人たちに周りを囲まれていたんだ。

びっくりして、目を丸くしたまま固まってしまう。

なんで、この人たち、急に話しかけてきたんだ…?

オロオロして、竜司くんに助けを求めようと、竜司くんを探した。

その時。
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