パティシエ総長さんとコミュ障女子
壮助side
「はぁ!?ばっかじゃないの」
「んなことあってたまるか!」
大きな声で笑い合う。
近くにいる男は、双竜会の仲間たちだ。
俺たちは双竜会本部のホールに集まっていた。
サイダーを飲み、馬鹿話をする。
今の所、これが俺のいちばんの楽しみだ。
そんな時、突然、我らが総長が現れた。
竜司さんだ。
憎らしいほどのイケメンで、非の打ち所がないルックスを持っている。
俺は竜司さんのひとつ下の高一だ。
俺は変なヤクザに殴られているところを、竜司さんに助けられて双竜会に来た。
双竜会は例外もあるが、基本高校生のみで構成されている。
「こんちわーっす!!」
叫んだ声がホールを震わせた。
片手を上げる竜司さんが今日も安定のイケメンで安心する。
二日前にひどく殴られていた頬も内出血が薄くなってきていた。
しかし、すぐに俺たちの視線は、竜司さんから隣にいる人に移ることになった。
「………女…?」
ぼそりと呟いてしまう。
隣の奴に小突かれて、口をつぐむ。
第一印象としては、ひどく綺麗な女の子だと思った。
アーモンド目で、顔立ちがはっきりしていて、表情が引き締まっている。
その顔からは強さと共に、儚さも感じられた。
袖や、プリーツスカートから伸びる手脚が細長くて、美しい。
日焼け止めなのか、両腕の黒いアームカバーが目立つ。
しかし、何よりも、竜司さんと並んで見劣りしない外見を持っていることに驚いた。