パティシエ総長さんとコミュ障女子

「close」の札をドアに掛けた竜司くん。

どういうことだ…?

これから一週間、何か予定があるのかな。

双竜会関係?じゃあなんで私を呼んだんだろう。

突然、竜司くんが頭を下げてくる。


「頼む!凛ちゃんしか頼める人がいないんだ!!」


え、えぇ?

どういう表情をしたら正解なのか、さっぱりわからない。

私にしか頼めないって…ま、まさか…

そういうコト!?

私の思考が勝手に独り歩きし始めた。


「だ、だめだよ!そんなコト!」

「え…?俺まだ何にも言っていないんだけど。」


あっ…

私が何を想像したかは置いておいて、恥ずかしい!

本当に恥ずかしいことになる前に竜司くんが突っ込んでくれてよかったぁ…

ただ、少なくとも私の顔が真っ赤になってしまったことは否めない。


「ん?じゃあどういうことなの?」


できるだけ平常心を心掛け、竜司くんに問いかける。

それにしても珍しい。竜司くんがこんなに下手に回るなんて。

いつも対等に話してきたから、変な気分…。


「凛ちゃん、マジで助けて!」

「こ、怖い怖い怖い!もったいぶらないで早く言ってよ!」


変に前置きされたりするのは苦手だ。

次に何を言われるのか、気になって落ち着かない。


「俺に、勉強を教えてくれ!!」


そう言って私に向かって合掌した彼に、私は数秒間フリーズした。
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