猫は口実
謝りたい、とにかく謝りたい。
突発的な後ろめたさに心が支配される数時間前のこと。
職場の同僚であるヤマサキさんに誘われて、居酒屋に行った。
駅前だったらどこにでもありそうな、チェーン店に入った。
そこで安い酒を飲み、しょっぱいだけのおつまみをダラダラと食べていた。
ヤマサキさんとは時々、2人で酒を飲みながら、たわいもない話を長々とする機会があった。
趣味があまりない私にとって、数少ない楽しみだった。
2時間ほど経過して、私よりも先にヤマサキさんが酔っぱらい始めた。
『あたしゃ、もうダメだよ。ダメだね、独り身だし。うんぁ、フジノちゃんは今からでもカレシちゃんと作って結婚しなよぉ。このままいくと、預金とぜい肉を溜め込んだ妖怪になっちまうんだ…。』
ヤマサキさんは、酔うとネガティブになるタイプだった。
普段は明るい人だから、その反動なのかもしれない。
後、酔っぱらうとなぜか、私のことをちゃん付けで呼び、余計な心配をし始める。
こういう部分が、そういえばこの人ちょっとだけ年上だったなと思い出すきっかけになったりする。
意外と嫌いではなかった。
私が思いをめぐらせていると、ヤマサキさんはイスの背にもたれて、うとうとと居眠りをしていることに気がついた。
この人は3回に1回くらい、お酒を飲んでいる途中で居眠りをする。
もう慣れたので、しばらく寝かせておこうと思う。
会計の時に叩き起こしたら良い。
突発的な後ろめたさに心が支配される数時間前のこと。
職場の同僚であるヤマサキさんに誘われて、居酒屋に行った。
駅前だったらどこにでもありそうな、チェーン店に入った。
そこで安い酒を飲み、しょっぱいだけのおつまみをダラダラと食べていた。
ヤマサキさんとは時々、2人で酒を飲みながら、たわいもない話を長々とする機会があった。
趣味があまりない私にとって、数少ない楽しみだった。
2時間ほど経過して、私よりも先にヤマサキさんが酔っぱらい始めた。
『あたしゃ、もうダメだよ。ダメだね、独り身だし。うんぁ、フジノちゃんは今からでもカレシちゃんと作って結婚しなよぉ。このままいくと、預金とぜい肉を溜め込んだ妖怪になっちまうんだ…。』
ヤマサキさんは、酔うとネガティブになるタイプだった。
普段は明るい人だから、その反動なのかもしれない。
後、酔っぱらうとなぜか、私のことをちゃん付けで呼び、余計な心配をし始める。
こういう部分が、そういえばこの人ちょっとだけ年上だったなと思い出すきっかけになったりする。
意外と嫌いではなかった。
私が思いをめぐらせていると、ヤマサキさんはイスの背にもたれて、うとうとと居眠りをしていることに気がついた。
この人は3回に1回くらい、お酒を飲んでいる途中で居眠りをする。
もう慣れたので、しばらく寝かせておこうと思う。
会計の時に叩き起こしたら良い。
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