White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
「ねぇ!!聞いて!さっきあの地味女が仁様に話しかけられてたんだけど!」


クラスの中心人物である森里雪(もりさとゆき)さんが金切り声をあげながら教室に入ってきた。


森里さんの取り巻きたちが一斉に立ち上がり、私の席まで詰め寄ってくる。


―バンッ!!


至近距離で机を叩かれ、ビクッと肩が上がる。


「どういうことだよ!」


「なんでてめぇなんかが仁様と喋ってんだよ!」


「ひ、人違いで…」


「人違い?お前みたいなブスはこの学校に一人しかいねぇんだよ。間違えるわけねーだろ!」


…っ!


「二度と仁様と喋んなよこのブス!」


ガンッ!ガタンッ!!


森里さんに蹴られた机が派手な音を立てて倒れる。


まだ新品の教科書やノートが床に散らばった。


シーンと静まり返る教室。


「あたしの気に障ることはすんな」


眼力に気圧され、小刻みに頷くことしかできなかった。


誰も、教科書を拾うのを手伝ってくれないし、何も言ってくれない。


それどころか、クスクスと笑う声が聞こえる。
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