White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
「えっ!嘘!」

「きゃあ!!本物!!」


突然騒がしくなる廊下。


徐々に徐々に女子の甲高い声が大きくなっていく。


「なんでこのフロアに!?」

「近くで見るとホントにカッコいい」


なんの騒ぎだろう。


1軍女子たちが廊下側の窓付近を占領しているから、私がいる席からは何も見えない。


まるでライブ会場のような歓声とざわめきが起こっている。


「え!?うちのクラス!?なんで!?」


歓声に包まれながら入ってきた男が、教室の空気を一瞬にして変えた。


誰もが息を呑んでいて静かな教室。


誰も声を発さずに“仁様”の動作に釘付けになっている。


女は憧れ、男は畏怖の視線を彼に向けている。


ただ一人を除いて。


「おい、教室には来んなっつったろ」


朝浜くんが立ち上がって神月先輩に抗議したけど、彼はまったく耳に入っていない様子でこちらに近づいてくる。


まさか…また私?
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