White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
「おーい」


シロの背後から近づき声をかける。


だが反応はなし。


「おーーい。聞こえてねーの?」


…無視かよ。


相変わらず感じ悪りぃな。


「そこの地味女!」


地味女というワードにようやく立ち止まったシロ。


高そうなプライドが許さねーのかもな。


そのわりに地味な格好してんのが理解不能だ。


「てめぇ、無視すんな」


振り返りもせず再び歩き始めたシロの腕を掴むと、意外にも簡単によろけた。


「ちょっ…え…?」


目を見開き固まるシロ。


…なんだろう、この違和感。


顔はまったく同じなのに、別人を相手にしている感覚。


以前会ったシロとは空気が全く違う。


「俺のこと、覚えてる?」


「初対面だと思いますけど…」


怪訝そうな顔は作っているようには見えない。


だけど、あの女ならこれぐらいの演技はお手の物だろう。
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