White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
誰も大くんには逆らえないのか、森里さんを擁護する人はいない。


いつもの取り巻きたちが肩や背中を擦っているくらいだ。 


取り巻きたちに連れられて森里さんが教室を出ると、凍っていた空気が溶け始める。


「…森里さんを怒らせて大丈夫なの…?」


「え、だめなの?」


さそがし驚いたという様子で目をパチクリさせる大くん。


子犬のように可愛らしいのに、中身は蛇のよう…。


やっぱり白虎は危険な族だ…。


大くんのギャップを目の当たりにするたびに思う。


「それよりさ、1限サボってデートしない?」


「デ、デート?」


「うん。だめ?」


ほんと、犬みたい…。


人懐っこくて、愛嬌があって、母性本能をくすぐられる。


私にはない要素を兼ね備えている。


「たぶん仁くんが怒るから…」


「でも、仁とは付き合ってないでしょ?」
< 48 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop