White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
白虎の溜まり場までの道のりにはもう慣れた。


最初はドキドキしながら歩いていた廊下も、今では平然と歩けるようになったし、ノックもせずに入れるようになった。


案外私は環境に馴染める質なのかもしれない。


「仁くん、おはよう」


「俺が呼ぶ前に来るなんて珍しい。どした?」


クールな表情に見えるけど、目の奥が柔らかく笑っている。


ソファの真ん中に座っていた仁くんが端に避けてくれたから、その隣に腰を下ろす。


「大くんに誘われたから。ダメだった?」


「んーん」


ギュッと肩を抱き寄せられ、仁くんの温もりが頬に伝わる。


「仁くん…?」


「昨日の夜、何してた?」


低い声が耳元で反芻する。


わずかな怒りの気配を感じで顔を上げると、仁くんは真っ直ぐに私の目を見つめていた。
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