White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
“地味女”という言葉に自然と足が止まる。


また、悪口だ。


私に投げかけられる言葉はいつも悪口。


優しい言葉をかけてもらえたことなんてない。


…いちいち気にしてたら身が保たない。


無視して再び歩みを進める。


「てめぇ、無視すんな」


グイッと腕を引っ張られ、思わずよろける。


「ちょっ…」


“やめてください”


その言葉すら喉に引っかかって上手く出てこない。


腕を引っ張ってきた男へせめて抗議の視線を向けようと顔を上げる。


「…え…?」


なん…なんで?


なんで“仁様”が私なんかの腕を掴んでいるの?


さっきまで騒がしかった校内は静まり返り、大勢の人が私と神月仁に注目している。


神月仁への憧れの視線と、私への敵意の籠もった視線。


「俺のこと、覚えてる?」


…はい…?


「初対面だと思いますけど…」


覚えてるも何も、今日が初めまして。


そりゃ、有名人だから私は一方的に知ってはいたけど…。
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