White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
「前に会った時とだいぶ雰囲気違うな。学校では本性出さねぇの?」


ニヤリと口角を上げ、冷たい眼光を向けてくる神月先輩。


前に会った時っていうのも、本性っていうのも、まったく意味が分からない。


「人違いじゃないですか…?あの…離してください…。皆見てるし…」


神月先輩とこんなふうに話していたら、学校中の女子から嫌われてしまう。


「これぐらい自力で振り払えるクセに」


「え…?本当に意味が分からないです…」


一体誰と間違えてるの?


ずっと人違いして私に話しかけてるよね…。


私は、男の人に力いっぱい掴まれて振り払えるほど強い女じゃない。


「きっと、神月先輩が思ってるのは違う人だと思います。私は真白唯(ましろゆい)です」


「真白唯…。ふーん…」


納得したのか人違いに気づいたのか、神月先輩はようやく腕を離してくれた。


「あだ名は?」


「あ、あだ名?そんなの無いです」


答えていて心臓がギュッと痛む。


あだ名で呼んでくれる友達なんていないから。
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