White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
「…そ。なら人違いか」


「だと思います…。それじゃ、失礼します…」


周りの人の視線が痛い。


小さな声で「なんで地味女が」「仁様と話せるなんてズルい」「地味子のクセに」と話している声が聞こえる。


「仁様が白虎以外の人に話しかけるなんて、前代未聞だよね」


「なのに、よりによってなんであんな子に…」


…私に言われたって…。


そんなの、私が聞きたいよ…。


なんで神月先輩は私に話しかけてきたの。


誰を私なんかと間違えたの。


こんな女に間違えられた相手の方が可哀想だ…。


「今日も来たよ、地味子。アイツ何週間もつかなぁ」


「友達いないもんねー、明日には不登校かもよ?」


教室に逃げ込んだって、そこに安心できる空間はない。


クラスメートからの悪意のある言葉を投げかけられる。


俯いて、縮こまって、自分の席でジッとしていることしかできない。


この教室で私が許されているのは呼吸だけ。
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