元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 結局、乃愛はピザをすべて自分で平らげ、優斗はカップラーメンをすすったのだった。
 乃愛は背伸びをしたあとソファにごろんと寝転がる。
 そして、あろうことか優斗にきゅるんとした目を向けて言った。

「ねえ、優くん。えっちしよ」
 
 優斗は驚愕のあまり固まった。
 そして、次第に苛立ちが募ってきた。

(バカなのか? こいつ。こんな目に遭わせられてその気になるかよ)

 優斗は無言で不機嫌をアピールしたら乃愛は「つまんなーい」と言ってスマホをつつき出した。
 その様子を見て優斗は表情を歪める。

(くそっ、こいつは早く母さんに教育してもらわないとだめだ)

 優斗はすぐに電話をかけて、母にすべてを話した。
 すると母はすぐにこちらへ来ると言ったのだ。

(とりあえず母さんになんとかしてもらうか)

 優斗はにやりと笑った。
 そして1時間ほど経った頃、優斗の母が訪れた。
 乃愛を見た母は一瞬真顔だったが、じっくりと上から下まで観察したあと、よそゆきの愛想笑いを浮かべた。

「まあ、あなたが乃愛さんね。はじめまして」

 優斗母を見た乃愛はきょとんとした顔になった。
 乃愛が挨拶を返さないので、母は表情を引きつらせる。

「おい、俺の母さんだぞ。お前、挨拶しろよ」

 優斗が問い詰めると、乃愛は「なんで?」と軽く返した。

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