元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 それを聞いた優斗は急に慌て出した。
 優斗母は眉を吊り上げ、引くついた顔をしている。

「てゆーか、結婚したら旦那の実家で同居って、いつの時代? ウケるんですけど」

 乃愛はカラカラ笑っている。
 優斗が母に目を向けると、母は激怒の表情になっていた。

「乃愛さん、年配者にはもっと丁寧な言葉遣いをしなきゃだめよ。うちの近所は礼儀正しい人たちばかりだから、あなたの態度だと評判が悪くなるわよ。困るのはあなたなのよ?」

 優斗母の言葉を聞いた乃愛はますます目をぱっちりさせて訊ねる。

「えー? なんで乃愛が困るんですかぁ?」
「ご近所を歩けなくなるでしょう?」
「別に優くんの実家の近所を歩いたりしないのでご心配なくー」

 乃愛はにこっと笑って返す。

「なっ……」

 優斗母が拳を握りしめながら今にも声を上げそうになっている。
 慌てて優斗があいだに入る。

「乃愛、ちゃんと母さんの話を聞けよ。お前にいろいろ嫁の務めを教えてくれるんだぞ」

 すると乃愛はふたたび目をぱっちりさせて首を傾げながら言った。

「どーして乃愛が嫁の務めを教わるの? だって乃愛はまだ結婚しないよ?」

 それを聞いた優斗はぽかんと口を開けたまま黙った。

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