元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
「あたし、そんなこと頼んでないし。優くんちょっと頭おかしいんじゃない?」

 乃愛の言葉に激怒したのは優斗母だ。

「あなた、うちの優斗に向かってなんてこと言うの?」

 優斗母が怒鳴りつけるも、乃愛はまったく動じることなく、むしろクスッと笑った。

「優くんママ、子離れできてなくないですかぁ? 恥ずかしー。うちの優斗だって。ぷふふっ」

 優斗母は怒りのあまりソファを拳で二、三度叩く。

「何なの? 優斗! この子は! こんな失礼な子は見たことがないわ! これなら紗那さんのほうが数倍マシよ!」

 優斗は母をなだめながら乃愛に詰め寄る。

「乃愛、お前がそんな奴だとは思わなかったよ。いつも俺に寄り添ってくれただろ? 毎日俺に会いたいって言ったじゃないか。どうしてそんなに俺を困らせるんだよ! 俺のことが好きならもっと俺のことを考えろよ!」

 すると乃愛は思いきり首を傾げた。

「ん? なんか優くん勘違いしてない? 乃愛は優くんが好きなんじゃなくて、優くんとえっちしたいだけだから」

 それを聞いた優斗母が驚愕の表情で固まった。

「え、え、え、え、えええええっ……」

 優斗母は眩暈がしたのか、くらりとしてソファに頭を預ける。

「お前、母さんの前でなんてこと言うんだ!」
「だって事実だしぃ」

 乃愛はまったく悪びれた様子もなく、綺麗にネイルされた爪を触りながらぼそりと言った。

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