元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 優斗は苦悩のあまり「あああああっ!」と感情的に叫び、拳でテーブルをバンバン叩いた。

「くそっ! どうしてこうなったんだ?」

 テーブルに叩きつけた拳が赤く腫れ上がる。
 優斗はぶつぶつ文句を呟きながらこうなった原因を考える。
 紗那の顔を思い出し、ぎりっと歯噛みする。

「そもそも、紗那が出ていったのが悪いんだ。俺が乃愛と関係を持ったのも、紗那がやらせてくれないからだ」

 優斗は顔を上げると、紗那と一緒に食事をしたダイニングテーブルを眺めてぼそりと呟く。

「どう考えても俺は何も悪くないよな?」

 優斗の頭の中は紗那のことでいっぱいになっていた。


 翌日、会社のエントランスで紗那を見かけた。
 声をかけようと思ったが、周囲の好奇な目から逃れるように、紗那は小走りで走っていった。
 そういえば、数日前に紗那と乃愛の写真が撮られてSNSで拡散していた。
 正社員が派遣をいじめている写真だというタグ付きで。

(紗那は今、孤独のはずだ。俺がなぐさめてやろう)

 優斗はこれをチャンスと捉え、紗那と寄りを戻すことにした。

(紗那には俺しかいないんだからな!)

 優斗はにやりと笑い、背後から紗那を見つめていた。

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