元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
「何があった?」
「え? な、にも……」
「そんなことないだろう。会社で何かあったんじゃないか」
「ちょっと、ミスが多くて……案件から外されて……」
「それは、つらかったね」

 説明をしていたら涙が出て止まらなくなってしまった。
 そうしたら千秋さんが私を抱きしめたまま頭を撫でてくれた。

 拒絶したいのにできなかった。

「一緒にいようか?」

 彼が私の耳もとでそんなことを言ってどきりとした。
 一緒にいてほしい。そばにいてほしい。だけど、他の女を抱いた手で抱かれたくない。

「……大丈夫です」
「ちゃんと寝ていないだろう。顔が死んでる」
「余計なお世話です」

 私はどうにか明るく返した。
 顔を上げると彼は本当に心配そうに私を見つめている。その表情を見ると、余計につらくて泣きたくなった。

「不安なことがあれば俺に言えばいい。話くらい聞くよ」

 じゃあ、乃愛とはどういう関係ですか?

 そんな質問、今はできない。
 彼の返答次第で私の心は壊れてしまう。

「私、千秋さんのこと……」

 好き。

 ああ、好きなんだ。
 私、いつの間に彼のこと……。

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