元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 うそ! うそでしょ! どうして!?

 わけがわからなくて、私はパニックになっている。
 どうして美玲が乃愛にお金を渡しているの?
 意味がわからない。

 どくどく鳴り続ける鼓動がうるさくて、頭がガンガンしてきた。動揺しすぎて呼吸も乱れている。だけど、どうにか自分を落ち着かせながら、ふたりの声に耳を澄ませた。

「ええ~? たった3万ですかぁ? パパ活だともっと稼げるのにぃ」
「はぁ、あなたねぇ。優斗といい思いしたでしょ? それでも高いくらいよ」

 優斗と?
 どういうこと?
 え、もしかして、美玲が仕組んだことだったの?

「でもぉ、優くん下手くそすぎてサイアクだったの。お金もらえないなら絶対寝なかったよぉ」
「嘘ばっかり。あなたも楽しんだでしょ」

 楽しんだ?
 美玲は乃愛にお金を渡して優斗を誘惑したってこと?
 
 壁からそっとふたりを覗くと、美玲は煙草を取り出してライターで火を点けたところだった。彼女は煙草を深く吸い込んでふうっと煙を吐き出すと、にやりと笑みを洩らした。

「すべてうまくいったわ」

 どくんっと私の鼓動が激しく鳴った。

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