元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 美玲ははっきりものを言うタイプだ。だけど、理不尽に感情をむき出しにする彼女を見たのはこれが初めてかもしれない。
 私が絶句していると、彼女はクスっと笑って言った。

「紗那のことを本当に理解しているのはあたしだけよ。わかるでしょ? あたしたちは不遇な境遇で育った者同士。お互いによく理解し合える関係なの。男に依存しない生き方をしましょ。ねえ、紗那」
「言っている意味が、わかんないよ。美玲は私をどうしたいの?」

 美玲はふふっと笑って私に顔を近づけてきた。
 ふわっと煙草の香りがして、同時にキツイ香水の匂いも漂った。

「あたしが紗那を養ってあげる。これから先もずっと、あたしがあなたを救ってあげるわ。男なんて一生理解できない生き物よ。そんな鬼畜とは離れてあたしたちふたりで暮らすの。あなたは何も心配せずあたしに身を委ねていればいいわ」

 理解が追いつかない。頭が混乱して動揺が激しく、正常な思考が働かない。
 やっとのことでどうにかわかったのは、彼女が私を(同性の)恋人にしたいということだ。
 そんなの、私には無理。考えられないし、考えたこともない。

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