元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 紗那にあたしのことがバレてしまった。偶然乃愛に金を渡しているところを紗那に見られてしまった。
 でもいいわ。この際だから紗那にはすべて打ち明けることにした。今まであたしがどれだけ紗那のことを想っていたか、紗那のためにどれほど邪魔者を排除してきたか、彼女ならわかってくれる。

 だけど紗那は泣いていた。あたしのことが理解できないなんて言って。
 いろいろあったもの。すぐに受け入れることはできないでしょう。でも、大丈夫よ。時間が経てばあなたもわかる。あたしがどれだけあなたのことを考えているのか。あなたを幸せにできるのはあたしだけ。

 紗那は仕事に支障をきたし、上司からの信頼を失った。少し可哀想だけど、これはいい機会なのよ。紗那は仕事を辞めてあたしと一緒に生きていけばいい。

 このプロジェクトを成功させればあたしは出世する。
 そうしたら紗那と一緒に暮らすの。
 すべて完璧な計画通りで、あたしと紗那の未来はすぐそこまで見えている。

 そんな理想を頭に描きながら、重要なプレゼンに臨んだ日。
 会議室になぜか、月見里千秋が現れたのだった。

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