元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした

18、自分らしくいるために

 私は休暇ではなく休職をして父方の祖父の家に身を寄せることにした。

 不眠症の診断を受けて休職を願い出たらそれほどかからず許可が下りた。というよりは、厄介払いをされたといったほうが正しい。
 上司も問題を起こす社員など部署にいてほしくないだろう。実際に言われたわけではないが、そんな空気をひしひしと感じた。

 父方の祖父は私の実家からかなり離れた場所にあり、人口の少ない自然豊かな町だけど私はほとんど祖父の家に行ったことがなかった。
 というのも母が義実家に行くのを嫌がったからだ。
 中学生の頃はひとりで行ったりしたけど、高校になったら次第に疎遠になって、今回は実に3年ぶりだった。
 それなのに祖父はすんなり私を受け入れてくれた。
 
 祖父は物静かな人だ。朝4時に起床して畑仕事へ行き、そのあと町内の会合へ行き、昼からボランティアへ行き、夜は友人知人たちと知り合いの店で酒を嗜みながら過ごし、21時には就寝する。

 私は置いてもらっているから最低限の家事はしていた。祖父はほとんど私に干渉しないからいい意味で居心地がよかった。

< 231 / 282 >

この作品をシェア

pagetop