元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 私が戻ってすぐに行動したこと。それは、美玲と会うことだった。すべてきっちり終わらせるためだ。会う場所は会社近くの喫茶店で人の多い場所を選んだ。
 美玲は少しげっそりしているようだったが、私と会って嬉しそうに笑顔を向けた。
 私は、笑う気になれず真顔だった。

「紗那、待ってたのよ。連絡しても繋がらないから」

 それもそうだろう。私は美玲をブロックし、着信拒否していたのだから。

「でもよかったわ。こうして会ってくれるってことはあたしのこと理解してくれたんでしょ?」
「違うよ。今日はお別れを言うために来たの」

 すると美玲はすぐに表情を強張らせて声を震わせた。

「あたしのやり方が気に入らなかったのなら謝るわ。でもぜんぶ紗那のためなのよ。それだけはわかってちょうだい」
「わかるよ。美玲は自分と同じ境遇の子をそばにおいて共感させたかったんだよね?」
「紗那、そんな言い方……」
「でも、それじゃ前に進めないよ。傷口を舐め合ってるだけじゃ、これから先何も変わらないよ」
「何言ってるの。そんなことないわ。お互いに支え合って生きていけば……」

 美玲が身を乗り出して訴えるので、私は冷静にはっきりと告げた。

「美玲、私はあなたじゃないの。あなたも私じゃない。それぞれに人生があるんだよ。自分の望むことを相手に強要するものじゃない」

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