元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 そして私は一ヵ月の休職を終えて会社に復帰した。

「君が戻ってくれて助かったよ。林田くんがいなくなってどうしようかと思っていたんだ」

 私が会社に戻ると上司は上機嫌で迎えてくれた。
 以前は私を邪魔扱いしたりもう会社に来るなといわんばかりに休職を促していたけれど、あまりの態度の落差に唖然とするほどだった。

「でも仕方ないよねえ。あんなトラブルを起こしてしまってはね。社内の風紀が乱れて俺が責められたんだよ。優秀だと思っていたのにとんだ地雷だったよ」

 彼はハンカチで額の汗を拭きながら私に笑顔で続けた。

「君は被害者だろう。しかしもう大丈夫だ。林田くんは異動したから彼女の穴埋めとして充分能力を発揮してくれればいいよ」

 私はしばらく黙って聞いていたけど、相手に聞こえるか聞こえないかくらいの声でぼそりと吐き出した。

「……ずいぶん都合のいい」
「ん? 何か言ったか?」
「いいえ。それでは仕事に戻りますので失礼します」

 私は笑顔を取り繕って退室した。

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